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コラム

森林・立木の評価を不動産鑑定士が手がける意義

2023/10/16コラム

2023(令和5)年9月28日、和歌山県不動産鑑定士協会が主催する研修会「林地の評価-林業理解と立木評価への挑戦」と題して講師を務めました。準備として、林業行政、森林組合関係者、林業経営者等に聴取もいたしました。和歌山県は林業県、木の国でもあり、県協会のテーマとして林地は数年に一度は取り上げられます。林地の評価スキルを高めることや最近の林業動向を知るうえで意義あることではありますが、長年鑑定業界としては隣接する領域でもあり、活動領域を広げる可能性を探る意味でも注目されてきました。
そもそも不動産の鑑定に関する法律第52条において、森林を森林以外のものとするための取引に係るもの以外で、森林評価は不動産鑑定士の独占対象から外されており、実際林地部分はともかく立木の評価は林業の専門領域と見られてきました。不動産鑑定士側から立木評価をするのは、林業分野から不動産鑑定士になった者に任された分野であったかもしれません。林地を林地として取引に係る場合も、同様ですが不動産鑑定士も関与することが多く、地価調査、課税や競売、その他資産評価で実績があります。
さて立木部分ですが、業務領域の拡大とまで力むまでもなく、評価する、できるようになる、その努力が必要になってきていると最近考えています。林業の低迷で即時換金を前提とすれば、伐採搬出コストが現況立木の市場販売見込価額を上回るから立木部分ゼロ円で大抵の場合が済まされてしまい、またそれで正解という状況が続いてきたのはたしかです。ところが、毎年木は育つわけで、近年は森林の蓄積量が増大し、果たして伐ってみたら少しは残る場合も出てきているかもしれない、その可能性や検討をいちいち森林組合に調査を依頼することができないこともあって、せめて毎木調査にかける必要があるのかないのかくらいは鑑定士ベースでやる必要があると考えるわけです。手入れが充分で、搬出条件も良ければ、50年生ともなればゼロ円評価は問題です。債権処理等であっても債務者の利益保護からも、安易な保守的評価は問題視されます。たしかに困難な部分も多いのですが、技師資格を取るとか、林業関係者との接触を保ち、林業情報の取得、知識取得、資料の収集に努め、何より実践の中で境界領域を探索していく必要があると思います。

 

 

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