不動産取引の特徴
2015/08/07コラム
不動産取引の特徴
他の商品と異なり、土地や建物といった不動産には、いくつかの特徴がある。まさに動かないし、増えたり減ったりしない、それぞれが別個で個別性が強く 代わりがきかない。あるいは土地ならいろいろな用途に使うことができ、隣の土地と併せることも半分に区切って売ることもできる。注1)
とはいえ取引するとなるともっと特徴を並べ立てることができるだろう。 これほど扱いにくい(管理の困難性)性質があるため、通常は預金、債権よりは高利回りである。いくら値下がりしてもなくなってしまわない土地よりは、残材価格、いや現実的にはマイナスの取毀費用まで価値が失われる宿命の建物の方が高利回りである。 こうして見れば不動産の取引は一連の流れの中で無数の過程を含むものである。 たいてい必要なことのすべてが完了してやっと正常に終了する。その後に新しい隠されていた事実が判明したり、物的法的欠陥が見つかると瑕疵担保責任を追求 される可能性が高い。 所有者が取得の目的を果たせない場合に責任が自己の目算 違いなのか他人に責任追及できるかの境界は完全には明らかではない。 相手は売り主だけでなく、仲介業者や、取引付随のサービスを提供した、不動産鑑定士、測量士等にまで可能性は及び、これら業者もまた高度な善良なる管理 者たる注意義務が課せられている。 取引-その本質 かくまでややこしい、電話一本か今ならパソコン上の操作で取引完了となる株式とはまるで異なる不動産の取引とは、ただの売り買い、貸す借りる、なのであろうか。より特徴を整理すれば次の通りである。 1.売り手、買い手に対して情報が不完全にしか与えられない。 かくして今まで述べたような特性を理解すれば、不動産の取引とは、売買の対象 の土地よりもむしろ取引相手をよく研究し、心理的交渉を重視せねばならない。土 地等を詳しく調べ行政からの規制内容や近隣環境を知ることは当然必要であり、 知らない部分が多い方が相手よりも不利となる。 注1)「不動産鑑定評価基準」では不動産の特徴を次のように規定している。 |
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