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名手不動産鑑定株式会社

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不動産鑑定について

不動産鑑定とは?

不動産鑑定とはどういうもので、どのようにして行われるものなのでしょうか。

定義としては、不動産鑑定士によってなされる、土地・建物等の経済的価値を貨幣額によって示されたものです。

また、不動産鑑定士の名称を用いる限りは、「不動産の鑑定評価に関する法律」の規制を受けこれに基づく、「不動産鑑定評価基準」にしたがった表示項目を記載し、適正な評価手続き、評価手法により作成されたものでなければなりません。

不動産鑑定の基本的な考え方

では、どういう考え方で経済的価値を求めるのでしょうか。つまり「価格」とは何かを考えなければなりません。

(1)価値の源泉

鑑定理論においては、不動産の経済価値の源泉を、

  • その不動産に対して、われわれが認める効用
  • その不動産の相対的稀少性
  • その不動産に対する有効需要の存在

この三者の相関結合によって生じると規定されます。これについては、しごく経済的常識に基づいた考え方で あると、ここではしておきます。ただし、あくまで貨幣額で表示したものでなければなりません。

(2)価格の三面性

その価格を実際に求める方法、つまり鑑定評価の方式においては、価格は三つの方向からのアプローチで求めることになっています。

第一が、原価方式であり、それにどのくらいの費用がかけられているのか(費用性)に着目するものです。コストからのアプローチであり、これによって得られた結果(試算価格)を積算価格と呼びます。
第二が、比較方式であり、それがどれほどの価格で市場で取引されているか(市場性)に着目するものです。マーケットからのアプローチであり、これによって得られた結果(試算価格)を比準価格と呼びます。
第三が、収益方式であり、それを利用することによってどれほどの収益(便益)が得られるか(収益性)に着目するものです。収益性からのアプローチであり、これによって得られた結果(試算価格)を収益価格と呼びます。

鑑定評価は社会科学であり、総合技術でもある。

不動産の鑑定評価は、多くの価格形成要因を総合して価格を判定するもので、与えられたデータから一義的に答えを求めるものではありません。したがって、鑑定士の経験、能力等によって同じ対象不動産に対して異なる価格が出される場合があります。もっとも依頼者の都合に過度に合わせるような真似のないよう、また専門家としての注意義務を果たすことを確保するため、「不動産鑑定評価基準」に従い行われねばならず、地価公示等の公的評価とかけ離れた結果が出ないようにされ、不当鑑定に対しての処分制度が設けられています。

しかしながら大量の地点を広域で一斉に鑑定を行う必要がある場合には、複数の不動産鑑定士が共同で作業を進め、情報を共有、議論検討の結果、目線を合わせて多数地点で判断基準を合わせ整合性の取れた価格群を決定することもあります。地価公示、地価調査、相続税鑑定、固定資産評価替等の公的評価等がこれにあたります。

このため鑑定評価は社会科学に属すると言え、データ処理や統計、収益の把握等で数理統計技術を用いるものの無数とも言える価格形成要因を総合して判断し、最後に数値に変換するという「跳躍」が必要となり、経験とともに、多くのそして新しい分野への関心を持ち、研究し、採り入れていくという積極性が資質として求められているのです。土壌汚染、アスベスト、耐震強度と常に新しい問題が社会には起こってきます。証券化、国際化の広がりや収益還元法の精緻化、減損会計の導入など、鑑定手法はもとより法規制、経済制度も変わっていきます。常に学んでいく姿勢がないとついていけないのです。

そんな背景もあって、不動産鑑定士の経歴は多様であり、法律、経済系がやや多いとは言え、税理士、公認会計士、建築士等を兼務する者も多いのです。

価格等調査ガイドライン

その他、目的に応じた指導があります。詳しくは、公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会のホームページをご参照ください。

不動産鑑定の必要性と社会的意義

どうして不動産の鑑定評価というものが必要なのか。

 「 不動産の価格と賃料くらい、不動産業者に聞けばわかる。」、「長年住んでいる地域の土地相場ならば、自分の方が相場に通じている、だから不動産鑑定士など必要がない。」、という人もいます。「不動産鑑定士など依頼者の都合に合わせて書類をつくるんじゃないか。」、と疑う人もいます。

ちょっとお待ちください。

第三者としての立場で、専門知識に裏打ちされた公平な判断というものは、かならず必要です。取引相手となるかもしれない、あるいは媒介しようとする者の意見では利益相反になることが多いため、だれかに有利な判断をしている可能性があります。情報の非対称性がある相手との取引は、非常に不利だということは意識しておく必要があります。不動産というものを、分けて理解する場合、ひとつの考え方として、「売りにでている不動産」と「売りにでていない不動産」に分けて考えることができます。

 「売りにでている不動産」は、市場参加者の自己利益実現のための交渉や競争の対象であって、売りたい方は1円でも高く、買いたい方は1円でも安くという動機で交渉の場に立ちます。得られるべき収益から理論的に求めた価格で取引するという選択も稀にはなされますが、たいていは交渉、競争の結果として決まった価格で取引がなされます。この取引を有利に行うため対象不動産や市場についての情報を充分に得ておくことは絶対に必要なことだと言えます。また以前から知っている相手どおしの場合、情報を共有し、お互いに納得する中立的な価格を求めるために鑑定評価を利用することもあります。

「売りにでていない不動産」も価格を付ける必要があります。たとえば課税上、売りに出しているわけでもない土地の評価額に応じて行政サービスの対価として固定資産税や都市計画税をかけるわけですが、この場合は多数地点を公平に均衡の取れた価格を序列、変動率も考慮し面的に求めねばなりません。あるいは相続税や贈与税の場合は資産所得を公平、さらには簡便に求めるための路線価付設という必要もあるでしょう。また公共事業による買収を考えてもいいでしょう。

売買するのですが、売る気もなかった土地を売らせるわけですから、市場に成り代わって対象地の社会における価格秩序の中での適正なあり処を誰かが求めねばなりません。議員や公務員が行う場合、公正さを担保することが困難となる圧力が加わるかもしれません。そこで、一定の試験制度による有資格者、不動産鑑定士が市場の代行者として価格を求めることになります。つまり公平さを確保する社会装置であるということができます。

地価公示制度等(地価公示、地価調査)

毎年1月1日の価格を国が地価公示として不動産鑑定士に評価させています。同様に、毎年7月1日の価格を都道府県が地価調査として不動産鑑定士に評価させています。これらは他の場面において不動産鑑定士が鑑定評価を行う際、規準するべきものとされる、つまり地価公示・地価調査の結果と矛盾した鑑定評価はできないことになっています。また制度趣旨が、一般の人が土地の適正な価格を判断するうえで客観的指標として活用されるために設けられた制度なのです。

とはいえ、地価公示の標準地が、平成27年で23,380地点、ほとんどが都市計画区域内に限られ(市街化区域18,269地点、市街化調整区域1,275地点、その他の都市計画区域3,816地点、都市計画区域外の公示区域20地点)、地価調査の基準地が平成26年で宅地21,231地点、林地509地点の合計21,740地点となっています。

また雑種地、農地については価格水準として規準困難な場合が多く、不動産鑑定士が慎重な市場分析により、公示価格等からの直接的な規準なしに鑑定価格を決定する場合があります。さらに林地については公表地点数も少なく、立木等で高度な専門性を要する場合が多いのです。 なお、農地、林地は不動産鑑定士の法的独占対象外ですが、多くの不動産鑑定士が評価に従事しています。私は森林評価士でもあります。

路線価

ならば不動産鑑定士も関与した、路線価(相続税、固定資産税)があればだいたいわかるから鑑定評価は不要だろうという考えられるかもしれません。路線価は、公示価格等を規準したある程度多数の評価、これには不動産鑑定士が関与、に基づいています。目安にはなりますが、カバーされた範囲の低さからはなはだ不十分なものだと思われます。市街地を少し離れると、もう路線価のない地域が広がります。

工業地、農地、林地には、充分対応できていないものです。公示価格、基準地価格と同様、一般の方が比較できる範囲はわずかなものと考えられます。

画地条件(個別的要因)、市場性分析の重要性

では市街地は公示価格、路線価で充分でしょうか。土地は非常に個別性の強い特性があります。路線価というのは、それらのほとんどを捨象している考え方に成り立っています。課税や申告の簡便性、大量処理を目指して、同じ道路に面する土地なら価格を同じものに見なそうという考え方です。もちろん一定の個別的要因の修正率は用意されていますが、一般取引市場の実態に比べて格差の付け方が小さい傾向にあり、場合によっては、路線価をもとに申告してしまうと、損をする可能性もあります。

例えば、地形の不整形度、前面道路や隣接地との高低差、道路との間の水路の存在、近隣地域の標準的画地の規模との格差、擁壁・地盤の損傷、埋蔵文化財包蔵地、地歴からの土壌汚染の可能性等について、考慮がなされていないか、充分ではないことがあります。

また対象不動産の地域的、個別的な市場性の分析が、鑑定評価の目的によっては、きわめて重要になります。実際に市場で「売れる」「買える」価格を求めるには、鑑定士の分析能力と高度な判断が必要になります。実際、参考となる資料も乏しいケース、複雑な利用関係、対象不動産の特殊性が強い場合等、さまざまな場面で、鑑定士の判断を求められることがあります。

制度上の必要

  • 税務上も、個人と経営する法人との売買のような利害関係者間の売買は「時価」を基準として判断されますが、これは路線価ではなく、なるべくなら鑑定評価書を添付した方が望ましいようです。また個別的要因や収益性などで精密な調査に基づかないと不利な結果がでる可能性が大きいと言えます。
  • 公共団体による用地買収では議会等に鑑定評価書を添付して説明責任を明らかにする手段として鑑定評価が重要な位置をしめます。
  • 地価公示、地価調査、固定資産税の評価、資産課税上の標準地の評価等、法的にも不動産鑑定を活用すべきものとされる領域があり、社会の目に見えないインフラストラクチャーとして重要な位置を占めます。
  • 一定の公益団体、公共機関、公開企業等では業種によっては監督官庁に対して不動産の売買、融資、補助金の交付に鑑定評価書を添付して認可等を得たりする必要があります。

収益性、個別事情の考慮

収益目的での土地利用が可能な土地や建物の場合、不動産の収益力を充分な調査、分析のうえで算定し、収益価格を求める必要が多いと思われます。これは、中立の立場が明確な第三者に頼まないと、相手に有利な価格を聞かされる可能性があります。

路線価や公示価格等との規準では対応できません。厳密な収益面からのアプローチ、市場分析が必要だと思います。また隣接地を買収して画地を一体にする場合や、共有の土地を分けようとする場合のように、適正と見られる価格は、通常の価格を離れてしまう場合があります。よく隣の土地は高くても買えと言われますが、なぜ、どれだけ高く買うのが適正なのかは、私たちの意見を聞いて決めていただいても損ではない、合理的であると思います。

今まで賃貸してきた関係のある者どおしの間での賃料(継続賃料)の改定についても同様の関係があります。

不動産鑑定の利用を薦めるその特性

(1)信頼性、中立性

国家資格を持つ不動産鑑定士が、「法」「鑑定評価基準」に基づいて行うため信頼性を確保されています。不当な鑑定評価には処分が予定されるため、専門家としての高度な注意義務が要求されています。

(2)論理性、説得性

鑑定評価とは、つきつめると説得の技術ではないかと考えられます。充分な価格資料を収集し、価格の三面性(費用、市場、収益)からの論理的なアプローチで適正な価格を市場に成り代わって指し示す、きわめて公共性の高い、重い責務を負う職務です。

(3)個人情報の保護

市場価格データの収集、収益分析等において、鑑定評価作業は必然的に大量の個人情報の取り扱いを伴います。収集、活用、保管、廃棄のすべてのサイクルにおいて厳格な管理が求められています。

不動産鑑定、不動産鑑定士が必要なケース

個人の場合

資産評価

取りあえず価格を知りたい程度から、交渉提案資料、訴訟資料まで、価格や賃料を調べる必要性は多くの場面で発生します。いくつかを例示すると次のとおりです。

遺産分割
共有物分割交換、等価交換
財産分与
資産整理

売買の参考

遠隔地等で信頼できる不動産業者がいない地域での売買等。中立の立場で、説得材料となる評価が必要な場合、経営する法人等との取引を予定する場合(税務上も必要とされる場合が多く、また添付した方が有利であることが多い)

賃料決定の参考資料

新たに土地、建物を賃貸するのに適正な水準を調べたい、継続的賃貸関係が続いてきた中で、現行の賃料を引き上げたい、引き下げ たいときの交渉資料

調停、訴訟等の場合の資料として

相続、売買、賃貸関係等で紛争となり、調停、訴訟等で資料としての鑑定評価を求めれることがあります。原告、被告の当事者あるいは代理人弁護士からの依頼もある一方、裁判所から中立の立場での鑑定依頼をいただくこともあります。

借地、借家関係の精算資料

紛争に至らず解決をつける交渉のための資料として中立の立場で鑑定することがあります。また、交渉方針を検討するための資料として依頼される場合もあります。

経営する会社との不動産売買、現物出資

税理士、公認会計士様からの紹介が多いケースですが、鑑定の必要性の検討からも、ご相談を承っております。

隣地買収、交換のための交渉資料

賃借の場合も同じですが、交渉に入る前に方針を決める資料として、あるいは相手方に提案する条件として、鑑定評価を発注される方が多いようです。

法人の場合

上記個人の場合と同様の理由の他、次のようなケースが考えられます。代表者、関連会社との不動産売買(税務上、路線価ではなく適正な「時価」で取引すべきものとされ、不動産鑑定評価書の添付が望ましいとされます。また不動産の個別的要因や市場環境を適切に反映した評価額を求めることは大抵、簡易な機械的評価よりも有利になると考えられます。)

現物出資、事後設立、財産引受等
株式公開の準備資料として
合併、会社分割等の準備資料として
経営戦略策定のための資産評価
出店、撤退の予定地の売買交渉資料、賃貸交渉資料
企業間信用のための担保評価、信用調査
市場調査
業種・借入内容によっては融資を受けるために鑑定評価書が必要なケースがあります。
減損会計、資産再評価、証券化等法的に鑑定評価書

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