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戦略と戦術

2015/08/07コラム

戦略と戦術

つぎに取り上げるのは不動産においても、戦略というべき長期の基本方針と、現在取りかかろうとしている取引をいかに遂行するかという戦術の問題を区別して考えるべきことである。
そうして戦術は戦略に整合している必要がある。
これは、株式や他の財に共通する市場経済のもとで戦い抜く覚悟ある者にとっての鉄則である。多くの場合この整合性を無視するか忘れた行為で長期的には失敗してしまう。
戦略をどう立てるかは、それぞれの価値観で大きく異なる、まさに人格に及ぶ部分であり、これをどうこう他人が言うべきではない。しかしながらこれを策定するにあたり、経済・金融・政治全般に対する知識から文化的素養、審美眼、道徳的良識にいたる広範な力量ともいうべきバックグラウンドが影響を与えるため、正に日々の研鑽が欠かせないものである。また長期間で基本方針は変わってしまうことも多いが、これは考え方を変えることであるからそれなりの根拠づけを自らの中では持たねばならない。無資産で駆けだした時と一定の成功を収めたとき、置かれた状況が大きく変わったとき、戦略は変わるし変えねばならない。それは良いが戦術も整合性を持って変えねばならない。

不動産の取引が一連の長い繋がりをもつひとつの物語であるならば、それを首尾良く行いきったときに、戦略的な部分、例えば「開発して分譲するために地権者から土地を取得する、地価は上昇傾向と見込む。戦略目的はキャピタルゲインの獲得と資産の拡大。」の目算が狂って地価は下落してしまうこともある。昨今まさにそうである。このとき株式等と違って、読みがはずれたと気づいたものの、なかなか株式のようにすばやく反対取引ができないことにも注意が必要である。また結果の大きさから期待的観測を抱きやすいことも問題である。あまり大きなレバレッジを利かせるのは不動産の場合特に危険なことがわかる。

したがってここでは、戦略面のことは各人の研鑽にまかせねばならない。まさに経済分析や金融法務・税務・財務・経営全般について実践と理論の両方から鍛え上げていくほかはないのである。わたしが取り組むのは所与の戦略をどう遂行すべきかの考察である。

このとき例えば長期的着実に資産形成を図るという方針の者が、日計りの株式や商品の取引に熱中するのは戦略との整合性に欠ける。ブランドを長期に亘り高めていくという方針の製造業者が、目先の売上げ確保のため低価格品を安売店に値引き販売するのも同様である。

 

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